2012年度は「読み」「書き」「考える」力に発展させるよう、さまざまな方策を検討しております。新聞を読み内容をまとめる課題を出す、様々なイベント・授業内で読書時間を設けるなどです。
若者の活字離れや学力低下など何らかの手立てが必要なのは明らかですが、さてそれらを実際の教育コンテンツとしてプログラム化・カリキュラム化することが最善なのか、迷うことがよくあります。
こうして「レール」を敷いて「お膳立て」をするから逆に「学校で習っていないから知らない」「教えてくれないことはわからない」という、他人任せの若者を生み出しているのではないか、悩ましいところです。
そんな課題に対して明快な現状分析をくれる本があります。
それは、『下流志向―学ばない子どもたち、働かない若者たち―』(内田樹著・講談社)です。単行本は2007年1月発行です。
ここでは、いわゆる「ゆとり教育」で授業時間数が減り学力が低下したのではなく、むしろ子どもたちが学ぶことを嫌悪し学び(や働くこと)から逃走しているという現実、そしてそれが何に由来するものなのか筋道立てて解き明かされます。
たくさんの示唆がありますが、そのなかでも子どもたちが家事を手伝わなくなった(親が家事を手伝わせなくなった)ことに言及したくだりもあります。
思った通りの授業を展開することが難しくなってきた、学生の反応が理解できない、そんなことで苦慮されている世間のみなさまはもちろん、「よりよい教育」を考えるヒントになればと願う本です。