高等教育機関、特に専門学校を対象とする進学希望者の意識について整理したい。
【進学マーケットのトレンド】
専門学校希望の高校生が資料請求する際、利用する端末は76.6%がスマートフォンを利用、PCは23.4%となっており、4人に3人がスマートフォンで資料請求を行っている。更なる利用率の向上、スマートフォンへの偏重傾向、利用方法の変化が考えられる。
【オープンキャンパス参加の状況/参加時期】
専門学校進学者にあたっては94%の高校生が「OCに参加したことがある」と回答し、専門学校への進学者は1校または2校参加の傾向が高い。また、高校3年生夏にOC参加した高校生のおよそ7割を超える学生が高校1・2年生時に資料請求を完了している。高校3年生夏のOC動員に向けて、高校1年・2年生時の資料請求獲得が重要となる。
OC参加は高校3年・2年時の7-9月に集中しており、出願校へのOC参加の高校3年生は45.3%が夏に参加している。実際の出願校への来校を積極的に行っている様子が見て取れる。また、専門学校は事前接触の有無で出願率に大きな差があり、事前請求あり/OC参加での出願は48.86%、事前請求なし/OC参加での出願は26.05%となっている。
【進路選択スケジュール/進学学校種別の決定】
専門学校を進学先として決定した時期は高校3年生春以降がピークとなっており、大学進学者の40%が「高校入学前」と回答していることから、専門学校を選択する学生は比較的後半に進路決定することが見て取れる。
入学前に進学する「学校種」を具体的に決めていない傾向が強い専門学校進学者であるが、分野については専門学校進学者のうち25%が高校入学前に検討を始めている。行きたい分野はあるが、それが具体的に「専門学校進学」へつながるまでには若干の時間差がある。
【教育機関のネット炎上事例】
入学する学校を検討する際、インターネット上で評判を検索することが一般的になっており、募集工程におけるコントロール不可領域(口コミ、ネット上の風評、SNSによるコミュニケーション)の影響度は高く、日頃のレピュテーション(評判)マネジメントが肝心である。SNSの発達によりネット炎上件数は2014年667件、2015年1002件となっている。
独自の開発ツールでソーシャルメディアの記事を機械的に取得し、炎上の火種を探すユーザーが少なからず存在し、「ウェブ魚拓」などのツールを用いて悪意にネット上の情報を複製保存するユーザーもいる。一度作成された記事を削除することは極めて難しく、将来も含めて現実社会に影響が及ぶ可能性を認識し、リスク管理の十分な対策をとった上でSNSを有効活用していく必要がある。
重要なポイントは?
1点目は、ファーストタッチ→イベント参加→出願という学生募集の基本プロセスの徹底と、ファーストタッチの強化である。
最新のデータでは専門学校のイベント参加者に対して事前接触があった場合の出願率は48.86%、なかった場合の出願率は26.05%となっており、自明のことではあるが、ファーストタッチが重要。
2点目は、各SNSにおける定期的なエゴサーチの実施と、キュレーションサイトの活用である。