とある研修で、京都でも有名な「株式会社ワコールホールディングス」のダイバーシティ推進の取り組みが非常に参考になった為、書き残しておこう。
2014年にダイバーシティ推進の専属部署を設置し、「ワークライフバランス」と「次世代リーダー育成」をテーマに活動している。
女性の管理職比率UPと、出産・育児後の継続就労の、2本柱を軸に取り組んでいる。
具体的には、全従業員数の約89%が女性であるが、2014年時点での女性の管理職比率は約15%、2018年で約21%に向上した。
2020年には30%を目標に活動し活動開始当初、社員に『管理職に就きたいか』というアンケートを実施したところ、男性は70%がYESと回答したのに対し、女性は10%に留まった。
では、何が問題であったのか?
【女性社員が管理職になりたくない理由は3点】
①問題解決力に自信がない(起こった問題を自分で解決できる自信がない)
②自分の仕事に枠(範囲)をつくって働きたい
③ロールモデルが見出せない。
上記課題を解決するために、女性社員に対し、以下の能力を向上させる研修を実施した。
・問題解決力
・アイディアを実行に移す力
・他部署や周りを巻き込む力
また、女性社員は男性社員に比べ、自己肯定感が低いという調査結果がでたため、自分の適性や強みに気付かせる研修も実施。
(例:どのポジション〔NO.1、NO.2、平社員〕で最も力を発揮することができるのかなど、自分の適性に気付かせる研修)
さらに、女性が長く働き続けることができるよう、以下の福利厚生も充実させた。
・育児時短制度を、最大「小学校3年生まで」延長できるようにした(ただし、月に何日かはフルタイムで働く条件付き)。小学
校入学で学童保育へ移行すると、保育園よりも保育時間が短くなり、フルタイムでの就業が困難になる「小1の壁」問題に対応。
・再雇用支援制度の導入。旦那の転勤や出産・育児・介護などで、退職を余儀なくされる女性社員を、退職後5 年以内という条件
付ではあるが、自社で再雇用する支援制度。また、子供が小学生の間に、育児で退職をしても、手が離れた頃にもう一度再雇用
される制度もある。
・テレワークの導入(2018年4月より)。現在、利用社員数は100名程度。1カ月のうち5日を上限とし、モバイルPCを使っての
自宅ワーク。仕事内容と成果を上司に、事前・事後で報告している。
・自己啓発休職制度の導入。3年を上限に、海外研修やボランティアなど自己研鑽の機会をサポートする制度。
これらの取り組みから、ワコールではキャリア選択を自分事としてとらえる女性社員が増え、管理職を目指したい女性社員も10
%から23%に向上した。また、女性初の執行役員も誕生し、「女性にとって働きやすい職場」が「女性が働きがいを見つける職場
」に変貌を遂げた。今後も女性の管理職登用は、ワコール自体の競争力強化に直結するため、多様な働き方や、キャリアを認め、それらを制度化し、実践していきたいとのことであった。