今回ご紹介する『幕末のバイリンガル はじめての国際人 ジョン万次郎の英会話』(乾隆著,根岸茂夫翻刻,Jリサーチ出版)です。

ジョン万次郎は1827年高知生まれ、14歳で年長の仲間4名と漁に出て嵐に遭い漂流してしまいます。その後アメリカの捕鯨船に救助され、船長の厚意でマサチューセッツの学校に通わせてもらい英語を習得します。10年後に帰国してからは、長らく鎖国していた日本に英語や西洋文化を伝え、明治維新の立役者の一人となります。

この本はジョン万次郎の生涯を紹介するとともに、彼が帰国後に書いた『英米対話捷径』(「捷径」は近道の意)を写真と活字で復刻し、現代語訳をつけたものです。『英米対話捷径』にはアルファベットや数字の書き方、読み方から、安否や時候をやりとりするような簡単な英会話が紹介され、すべての英文にカタカナでフリガナがつけられています。

このフリガナ、えっ!?と思うような書き方なのですが、実際にその通り読んでみるとネイティブの発音になり(例えばmotherは「モーザ」、childrenは「チリレン」など)、万次郎が予備知識なしで自分の耳だけを頼りに英会話を習得したことがわかります。

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