最近、企業研修などのテーマにもなりやすい「パワーハラスメント」。
今日はパワハラの防止措置について、企業としてどのような対応が必要か、整理しておきたいと思います。
【管理職・一般社員の研修】
会社がパワハラを防ぐのに、最も効果的なのは管理職・一般社員の研修です。
そもそも、何がパワハラにあたるのか、わかっていない方が多い(特に管理職)ので、明確な基準を研修で周知する。平均的な労働者が、苦痛と考える行為は、パワハラに該当します。
【相談窓口の設置】
気軽に相談できる窓口の設置も有効です。
安心して相談できる体制を整備しておきましょう。
会社の内部と外部(弁護士・社会保険労務士・メンタルヘルスや健康の相談代行会社など)に窓口を設置することが望ましいです。
相談窓口担当者向けの研修も実施しましょう。
なお、相談窓口の担当者は、相談者からの相談を聞くにとどめ、事実関係の調査や、判断者はそれぞれ別にしておきましょう。
行為者だけでなく、対応者が訴えられるケースもあり、役割を分担し、複数で対応すること
で、負担責任を分散しましょう。
【ミスを繰り返す部下への対応?】
ミスを繰り返す部下に、何度も同じ注意指導をするとパワハラとなる可能性があります。なかなか厄介な問題です。
粘り強く書面による注意指導に切り替えたり、 よほど酷い場合は人事権等で対応しましょう。
◆パワハラが起ってからの対応について
【調査方法】
当たり前ですが会社は中立な立場で対応しましょう。
相談者がパワハラに該当すると主張する、具体的な「事実」のみを調査します。
パワハラかどうかは調査した後の判断です。
相談窓口は、相談時に「パワハラに該当すると思う」など回答してはなりません。
この場合、先に証拠を入手しておくことが望ましいといえます(録音データ、メール、日記など)。
特に相談者が録音していないか聞いておきましょう。
相談者は、行為者が嘘をつかないかや、会社を試す目的で、証拠を隠すケースもあります・・・。
ヒアリング調査は、第三者、行為者の順に行いましょう。
行為者から先に聞くと、第三者に口裏を合わせるようプレッシャーを与える可能性があるため。第三者は必要最小限に留め、守秘義務をよく理解させてください。
行為者はパワハラを否定することがほとんどです。
【評価・措置】
事実確認が終了すれば、以下の判断をします。
懲戒処分の場合、降格処分を選択する割合が、相対的に高い。
1.懲戒処分を科すべき行為か
2.注意指導をすべき行為か
3.人事考課で考慮すべき行為か
・パワハラ事案が起った後の、社内への事案の公表については、場合によって必要なこともあります。
行為者の行いが事実であれば、名誉棄損で会社が訴えられることはありません。
◆その他
・パワハラ防止対策を積極的に行っている会社ほど、パワハラなんて起こるはずがないと考えがちであるが、学校でのいじめ問題と同様に、人間同士がつき合う以上、必ず起きる問題です。
相談が少ない場合は注意し、相談窓口がきちんと機能しているか確認する必要があります。
また、問題が発生した後に、如何に対応するかが重要です。せっかく内部に相談してくれたのに、適切な対応
をしないと、外部(弁護士・マスコミなど)に相談に行く可能性があるので注意してください。
いずれにしても「何もないから大丈夫」ではなく「何もないからこそ何かないか能動的に動いていく」ことが重要です。