職場のメンタルヘルスを適切に!

今日のテーマは「メンタルヘルス」です。

皆さんは「うつ病」についてどの程度ご存知でしょうか?

本来言われてきた典型的なうつ病「自責の念が強く、献身的な関わりを行う従来型のうつ病」=「メランコリー親和型うつ病」は減ってきていると言われています。(働者の価値観の変化によって減った。)

その一方で、メンタルヘルス不調者に多い症例として「適応障害」が増えてきているという主張もあります。
本記事では「感情的な対応」により大きな損害が発生した事例を紹介しつつ、不調者への対応方法、もし不調
者が出た場合の職場復帰支援の手法について解説します。
 ポイントとして、トラブルが起きないよう解決するためにも「理性的な対応」を行っていかなければなりません。
  
●メランコリー親和型うつ病(いわゆる従来のうつ病)と適応障害の違い
メランコリー親和型うつ病…脳神経の病気
励まされると自責感が高まるので激励しない。
薬物による療養が効果的である。 (基本的に身体疾患と同じ対応で問題は起きない。)
適応障害・・・・・・・・・ある特定の状況や出来事(仕事等)により、精神的不調が現れるもの。
             特定の状況や出来事(仕事等)から離れると、症状は改善する。
             うつ病の治療では治らない(薬物による治療も×)。治療にあたっては
             ストレス因の除去と本人の適応力を把握することが大切。
 
●感情的な対応によって大きな損害が発生した事例
東芝事件https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E8%8A%9D%E3%81%AE%E5%8A%B4%E5%83%8D%E4%BA%8B%E4%BB%B6(ウィキペディアを参照)
 
なお、この事件は使用者は、必ずしも労働者からの申告がなくても、その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき

安全配慮義務を負っている、必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要
がある
と最高裁で結審され、使用者の労働者に対する「労働安全衛生」の取り組みの重要性が認識された事件です。
 
●不調者処遇の原則
①仕事が原因の傷病であれば解雇できない。
(メンタルヘルスの不調に関しては少なからず仕事も因果関係がある場合が多い)
②社会通念上、理不尽な解雇はできない。
③不調を理由にした降格降給はできない。
④不調を認めたら、治療と休養の機会を与える。
⑤専門医の判断や指示を尊重する。
⑥主治医から意見を聞いておかなければならない。
※平成22年J学園事件では、「人事担当者が、(体調不良者の)主治医に一度も問い合わせをしなかったの
は、メンタルヘルス対策の在り方として不備と言わざるを得ない」と判断され、解雇無効が確定した。

●対応時のタブー
①診断書を労働者から受け取らない。
②診断書を破棄する。
③診断書を無視して働かせる。
⇒労働訴訟になれば100%敗訴となり、自殺などした場合、億単位の賠償が発生することも。
 
 
●精神科主治医とのコミュニケーション
・主治医は体調不良者を「患者」として診ており、「労働者」とは診たてていない。
・精神科では患者のプライバシーを保護することを目的に診断名があいまいになることが多い。
 例)「うつ状態」「自律神経失調症」など
⇒正確な診断名を入手したい場合は、患者の同意と会社側が個人情報を適切に管理することの誓約が必要。
 
さらに、メンタルヘルスの問題は「疾病性」と「事例性」に分けて考えるべきである。
「疾病性」・・・治療の機会を与えるべき部分。(医療機関に解決責任を負わせて良い)
「事例性」・・・労働者の生産性が失われている問題。(事業者が解決すべき問題)
※多くの事業者はメンタルヘルス不調者が出た際、主治医に“丸投げ”してしまうことがしばしばある。
 
●職場復帰支援に向けて
・厚生労働省の「職場復帰支援の手引き」に基づいて行動することが大切。
⇒万が一、訴訟に発展したとしても手引きに基づいて対応していたことが裁判で評価されます。


厚生労働省 職場復帰支援の手引きは以下を参照
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-1.pdf
 
・産業医、主治医と連携することが大切であり、必ず主治医に問い合わせし、主治医から診療情報を得る事。
・最終的な職場復帰の決定は、主治医、産業医、人事、上司により復帰時の配慮を検討した上で決定する。
・職場復帰後も定期的な面接や勤務状況の確認、職場支援プログラムの見直しが必要である。
 

いかがでしたでしょうか?職場のメンタルヘルスを適切に行って、良い環境を作っていきましょう。

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