総務人事担当者に必要な基礎知識

今回は、企業の総務や人事担当者にとって必要な基礎知識について整理しておきます。

1.組織の中での総務の役割と仕事を理解する

会社組織の役割(目的)=利益の追求・社会貢献であるが、人事総務の社内での位置づけは「会社の顔であり、
幅広い知識と技能が必要」である。
「人事・総務」と一言で言っても、「庶務」「人事・労務」「経理」「法務」「システム」の5つの分野に分かれる。他部署
に所属しない仕事を積極的に引き受けて、業務に関する法律を敏感に収集していくことが大切である。
 
 

2.期待に応える仕事をするために持つべき心構えを確認・習得する

人事総務に求められるものとして、社外コミュニケーションはもちろん、社内コミュニケーションに力を入れなければならない。社員の意見をキャッチするアンテナを持ち、公平で広い視野を持つ。
また、「相手の話をよく聴き、正しく把握し、こちらの要望をシンプルに話す」というwin-winになれるコミュニケーションスキルを身につけなければならない。人、モノ、金といった様々な情報がはいってくるが、守秘義務を徹底することが何よりも大切である。さらに、周りに信頼されることが大切であり「小さな仕事の成果を繰り返し、信頼を獲得していくことが大切」である。そのためにも「時間をかけず、正確に、偽りなく、誰にでも同一の対応で」接していくことが大変重要である。
 
 


3.目指される社員としてこれだけは知っておきたい専門知識を身につける

電話応対、来客対応、席次ルール、季節行事(暑中見舞いやお歳暮)、文書管理、ビジネス文書などについて実
際のワークで演習を行いながら基本的事項を再確認した。特に備品や文書については「整理、整頓、清潔、清掃、しつけ」に留意して管理を徹底するとよい。

文書は内容ごとに「分類」し、過去1年分ほどを目途に、よく使う文書ファイルは事務室内に「保管」しておく。

さらにあまり使われなくなった過年度の資料の中で、法令で定められた保存期間がある文書は集中的に「保存」する。
管理については担当者といつまで管理しなければならないのかという時期を明確にしておくとよい。
 
 

《これからの人事に求められるものと役割》

本来、人事の役割としては「採用、教育、管理」が中心となってきたが今後求められる役割として「相談窓口としての役割」「社員のモチベーションのアップ」「少数精鋭の人事(ツールを使った効率化)」「女性のさらなる活躍」の4つの視点が大切になってくる。
安全衛生法の改正やフレックスタイム制、変形労働時間制の活用など、企業、労働者ともに働き方が多様化して
いる昨今においては人事に期待される役割もこれまでの在り方からさらに「労働者をいかに活用していくか」という視点に移りつつある。

4.メンタルヘルスとハラスメントの基礎知識を事例から


メンタルヘルスやハラスメントが起こった時のリスクとして「欠勤、仕事の能率低下・ミスの増加、モラルの低下、訴訟への発展、優秀な人材の退職」といったリスクが考えられる。

昨今、メンタルヘルス不調者やハラスメントの問題は増加傾向にあり、決して見逃すことのできない問題である。
 
《メンタルヘルスの問題について》  
メンタルヘルスの問題に対しては「普段から様子を見て「あたり前」を知っておくことが大切」である。表情が暗い、
ミスを繰り返す、人付き合いをさけるといった変化に気づけるのも「普段」を知っているからであって、常日頃からそ
の人がどんな様子で仕事をしているのかということに注意を向けておくことが大切である。
また、メンタルヘルス対策というと「心理的不調、精神的疾患にならないようにするための仕組みづくり」という、
どちらかというとメンタルヘルス対策=病気予防というマイナスで考えがちであるが

「一人ひとりが生き生きと働ける職場づくり」というプラスの発想をもつことが大切である。
メンタルヘルス対策として早期発見のために啓発活動、

ラインケア研修による上司の相談対応力や心の病の知
識の習得が重要であるが、メンタルヘルス不調者が出た場合は専門家につなぐことが大切である。

直属の上司、人事担当者、主治医が協力して職場復帰のサポートをしなければならない。
なお、メンタルヘルス不調の兆候が表れているにも関わらず、面談や病院の受診を拒む場合は、「現在のパフォ
ーマンスで困っている事実(ミスが多い、周りに迷惑がかかっている等)を正確に丁寧に伝えること」が効果的である。
メンタルヘルス対策として、普段から職場の様子を把握すること、過重労働を減らすこと、整理・整頓といった小さなことでも職場環境を変えていくこと、職場の人間関係を変えてみる(人事異動)といったことが実施可能である。
 
《ハラスメントの問題について》
パワーハラスメントについては個々の事例でそれがパワハラに該当するのか、もしくは指導の一環なのかという
線引きが難しいが、指導とパワハラの違いとして、その発言が「業務改善」を目的としているのか、また「相当な手段」をもって指導しているのかという点があげられる。
業務に関係しているのか、具体的な説明と納得性があるのか、方法に合理性があるか、平等な対応をとってい
るかという4つの視点がすべて認められないとパワハラと認定される可能性がある。
また、セクハラについては相手側の受け取り方次第で「性的発言や言動」になり、

業務を遂行する場所以外でも「職場でのハラスメント」となる可能性がある。(例:取引先の事務所、ランチ先、職場の飲み会の席等)
これらのハラスメントの問題を起こさないためにも「組織としての明確な姿勢を示す」「相談窓口を周知徹底する」「社内研修を定期的に実施する」ことが大切である。

いかがでしたでしょうか?

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