「顧客満足」、「お客様を満足させること」は、学校運営や教育、企業経営にとっては重要な要素です。
しかし、言葉では簡単に表現できますが、実に難しいのが現実です。大多数のビジネスパーソンにとって、「お客様の気持ち」は永遠の謎であり、テーマでしょう。
その謎を解くために、スタッフが自分で考え、悩み、行動し、周囲のスタッフを巻き込む。
そんなストーリーを本書では取り上げ、事例として紹介されています。
ご存知のとおり、星野リゾートは1904年に軽井沢の開発を開始し、100年以上の歴史を有しておられます。
しかし、約15年前までは長野県内の老舗企業にとどまっていましたが、同社を全国的なリゾート企業にしたのが4代目社長の星野佳路さんです。
星野さんは父親に代わって社長に就任されて以来、経営改革を断行されてきました。
古参社員などの反発を受けながらも一歩ずつ会社を変えられ、自社のビジネスを再構築されることに成功し、その経験を生かして、破綻したホテルや旅館の再生を引き受けられるようになり、日本各地にある破綻リゾートの運営を旧経営陣から引継ぎ、再生に取り組んでおられます。
『星野リゾートの事件簿』
~なぜ、お客様は
もう一度来てくれたのか?~
著者:中沢康彦 発行:日経BP社
登場するスタッフの中には、旅館やホテルの支配人もいれば、研修中の新入社員もいます。
いずれも星野リゾートで実際に起きた出来事です。環境負荷の軽減とコスト削減を両立させるために、従来なかったエネルギーシステムを作り上げたり、
常連客のクレームに対してスタッフがどう対応したらよいか悩み抜き、大胆な対応によってお客様の「怒り」を「笑顔」に変えたり・・・。
そのたびに星野社長はスタッフの行動を見守り、問いかけ、アドバイスされます。
決して細かい指示は出さずに、スタッフが自ら動き出すのを待つ。その間、星野社長はスタッフに対して、繰り返し、こう語りかけられます。「お客様の満足度を高めよう」
「100年に一度」と言われる不況が続き、どんな企業も、スタッフ一人ひとりの能力を十分に発揮させなければ、生き残ることが難しくなってきています。
星野リゾートの企業再生には、組織活性化のヒントが多数含まれています。企業規模や役職を問わず、ビジネスにかかわる人に、何かを示唆してくれるでしょう。
■関連サイト
星野リゾート ホームページ:http://www.hoshinoresort.com/